内容紹介
わたしたちの身の回りにはさまざまな「音」が溢れています。好きな音楽を聞くと心が踊る。沈んでいた気持ちが上向いて、元気が出てくる。柔らかな雨音を聞いているうちに、ウトウトと眠くなってしまう――。そんな経験が、あなたにもありませんか。
しかし「音」とは、ただ私たちの耳を楽しませてくれるだけの存在ではありません。言葉や表情と同じように――時にはそれ以上に大きな情報量と心を動かす大きなパワーを秘めた、大切なコミュニケーション手段のひとつなのです。
筆者は看護師として長年のキャリアを積んだ後、保育士の資格も取得して保育園や障がい児のためのケア施設を運営しながら、言葉だけではコミュニケーションを取りづらい特性を持つ人を数多くケアしてきました。その中でたびたび実感してきたのは「音」が秘めた無限の可能性でした。具体的にいうと、音や音楽には、自分の気持ちや考えを言葉で表現することが苦手な人の心を動かし、それを引き出す力がある、ということです。これは筆者自身が子ども時代に自分の体験として感じたことでもありました。
あわせて本書では、音によって人の心身を癒やす「音楽療法」という方法についても紹介をしています。
私たちがこれまで深く考えずに耳にしていた「音」の知られざる力について学び、優れたコミュニケーション方法として音楽を活用することは、実はさほど難しいことではありません。この本を読むことで、音楽や音に秘められた驚くべき効用や素晴らしさをしっかりと知っていただけるはずです。
筆者はこれまでの豊富な現場体験に、音楽療法の考え方をうまく掛け合わせることで、音が持つパワーをケア現場で最大限に取り入れています。本書で数多くご紹介している実践的なノウハウは、医療や介護の現場においても、そして毎日の生活のさまざまなシーンにおいても、すぐに活用していただくことができるでしょう。
音楽が持つ大きな可能性に興味を持ち、この本を読んでくださるあなたの心にも、心地よい癒やしの音が共鳴してくれることを願っています。
【目次】
はじめに
第1章 音楽に救われたあの頃―知らないうちに受け取っていた「音」のパワー
・引っ込み思案で吹奏楽に夢中だったあの頃
・何処かへ行きたい―本能が導く音の癒やし
第2章 音楽の持つ力を知ろう
・「音楽療法」ってどんなもの?
・耳が聞こえないと音楽は楽しめない?
・音楽療法は人類の智慧―医療福祉と音楽の世界をつなぐ存在
第3章 実践!音楽で心を解き放つ
・施設で行っている音の実践ノウハウを大紹介!
・やりたい気持ちをかき立てるためのキーワードとは?
・聞かせたい曲は自分で作る!―音楽活動を通じて得たもの
第4章 音楽でつながるこころ―すぐそばにある「音」が拓く未来
・暮らしの中に生きる音楽の効用
・音の持つ力に秘められた大きな可能性とは?
おわりに
読者特別プレゼント
著者プロフィール
【著者プロフィール】
原田 登子(はらだ・のりこ)
小学生から吹奏楽部に所属し部長を務める。フルートとサックス演奏に夢中になる。中学生の時に将来は看護師になると決め、看護科のある高校へ進学。専門学校を首席卒業した後に看護師として勤務。病院に10年間勤務し企業ナースとして10年働いた後、放課後等デイサービスと保育園の経営者として独立。現在は就労支援事業にも取り組む。3児の母として奮闘するかたわら、作詞・作曲・歌い手のすべてをこなすシンガーソングライターとしても活動中。この春、海外で活躍できる人になるためのノウハウが学習できる「国際Nケアスペシャリスト(incs)」検定試験を実施する会社を設立。4月にケア検定試験をスタートさせた。