マンション管理新時代
『理事会』が無くなる日
中村 優介 – 800円
内容紹介
我が国ではすっかりポピュラーな居住形態となった分譲マンション。
近年は「マンションは管理を買え」と言われるくらい、管理の重要性が認識されるようになってきました。
では、そのマンションの管理は、具体的にはどのように行なわれているのでしょうか。
最も一般的なのが、区分所有者の中から数名の代表者(理事)を選出して理事会を構成し、その理事会に運営を委ねる「理事会方式」です。
所有者自身が、自分達の財産・利益を守るために、自らの手で管理を行う。
一見何の問題も無さそうに思えますが、平成時代の約30年間で、この「理事会方式」の問題点が浮き彫りになり、理事会方式によるマンション管理は限界を迎えつつあります。
年々進むマンションの大規模化や権利関係の複雑化、区分所有者や居住者の価値観の多様化、或いは高齢化など。
あらゆる課題に阻まれ、理事会方式では適切に管理できなくなってしまったマンションが続出しているのです。
そんな状況でも、多くのマンションは管理会社のサポートにより何とか持ち堪えてきました。
しかしながら、近年では顧客からの過剰要求やエリア特性、理事会の機能不全等、高コスト・高リスクな管理組合は、管理会社側から契約辞退となるケースも増えています。
お客様は神様であった時代は過去の話となり、「優良顧客」以外はドライに切り捨てられる時代に突入しています。
そんな中、遂に行政代執行によって取り壊されるマンションすら出てきました。
行政代執行には当然我々の税金が投じられることになるため、管理不全マンションの問題は、マンションに住んでいない人であっても全くの無関係ではいられないのです。
そのような状況から、いよいよ国も動き出しました。
平成時代の「理事会方式」によるマンション管理に見切りを付け、「外部管理者方式」の普及に向けた取り組みが始まっています。
これからマンション管理はどのように変化していくのか。本書においては、これまでの管理の歴史を踏まえつつ、これからのマンション管理のあり方について言及していきます。
【目次】
はじめに
第1章 『平成時代』のマンション管理
地方のマンション管理の現実
地場管理会社の管理の実態
第2章 マンション管理崩壊の現実
都市部マンションの民主主義コスト
輪番制の限界
「管理会社は悪!」「独裁理事長の暴走!」の罠
管理不全マンションの問題は他人事ではない
第3章 令和のマンション管理は『外部管理者方式』
いよいよ国も動き出す
新しい「外部管理者方式」とはどんな管理方法か?
管理会社による外部管理者方式の問題点
何故、管理会社による外部管理者方式導入が進んだのか
管理会社と管理士会の縄張り争い
第4章 外部管理者方式におけるマンション管理士の存在意義とは?
マンション管理士が必要とされる理由とは?
外部管理者方式のメリット
「外部管理者方式は危険」は本当か
「ハイブリッド外部管理者方式」という新たな選択肢
小規模・高経年マンションに「管理会社」は必要か
おわりに ~来るべき『外部管理者方式』時代に向けて~
個人スポンサー様
著者プロフィール
【著者プロフィール】
中村 優介(なかむら ゆうすけ)
1990年生まれ。帝京大学文学部心理学科卒業後、分譲マンション管理会社に入社し、マンション管理組合運営に携わる。その後大手不動産仲介会社等を経て、マンション管理士として独立。
独立後は第二種電気工事士や消防設備士等の資格も取得して弱電工事実務や消防設備改修・点検に携わり、ライセンス(DJIスペシャリスト)を取得してドローンを活用した建物調査診断技術を身に付けるなど、精力的にマンション管理実務の問題に向き合う。マンション管理士として首都圏を中心に多数のマンション管理組合運営をサポート。