内容紹介
――スポーツに打ち込む青春は美しい。
この言葉に異を唱える人は、そういないでしょう。何もかも打ち捨ててスポーツだけに打ち込むあなたの姿は素晴らしいと、人は気軽に称賛してくれるでしょう。元ラグビー選手として強豪校や企業チームで活躍した経歴を持つ筆者にとっても、こうした賛辞はかつて耳慣れたものでした。
しかしいずれどんなに優れた選手にも、競技一本で生きてきた人生の脆さを思い知る瞬間が訪れます。それが引退の時です。それまで一心にスポーツに打ち込んでいた人ほど、競技者でなくなった時の寂しさは大きいでしょう。では、あなたのひたむきさをかつて褒めてくれた人たちは、この空虚な心を満たしてくれるのでしょうか。
残念ながら、そうは行きません。選手として生きる時も、引退した後も、あなたの将来とはあなた自身の選択によって創られる人生そのものなのです。そしてもう一つ言えるのは、引退という一つの出来事は、実はあなたが思っているよりも案外小さな、人生の中ではささいなイベントに過ぎないということです。
28歳でラグビー選手としての現役生活を終えることになった筆者もまた、早すぎた引退に戸惑いその後の人生に迷いを感じた元アスリートの一人でした。このままラグビーとは無縁の世界でサラリーマンとして働くことが唯一の選択なのかと悩んだ末に、情報収集と行動を重ねることで意識を変化させた筆者。やがてワールドカップや五輪を支える公式SNSアカウントの運営者として世界の大舞台を踏みしめて、現役時代とは違った形で大きな夢を実現させたのです。
元アスリートとして、そして今はスポーツマーケティングの第一線で活躍する体験談を、筆者が惜しみなく語りつくすこの一冊。アスリートではなくなった人間の新たな人生のセカンドキャリアの現実、そして理想へ必ず近づいていくための必勝法を、リアルな言葉でお伝えします。すべての現役アスリートたち、そして既に引退した元アスリートたち必携の書。
【目次】
第1章 ラグビーに導かれた現役時代-強豪明大ラグビー部へ
・キックオフは小学2年生―ラグビー人生の始まり
・名門チームで目指した構造改革―寮長としての奮闘
・アスリートこそ好奇心のアンテナを広げるべし―現役時代という好機
第2章 思いがけない戦力外通告―「選手じゃない自分」の再発見
・ラグビーが引き寄せてくれた就職―幸運は偶然だけで生まれない
・28歳で引退へ!?崩れてしまったライフプラン
・選手じゃなくなっても当然人生は続く―セカンドキャリアを掴み取れ
第3章 新たなフィールドでスキルを活かせ-ラグビーW杯SNS戦略
・キャリアと情熱を活かした挑戦―信頼とコミュニケーションの両輪
・W杯公式アカウント「中の人」という仕事―選手経験をフル活用
第4章 独立、そして五輪公式SNS運営へ―視野を広げチャンスを掴み取れ
・次のステージを目指して―「経験」と「情報」がもたらした転職という選択
・自己プロデュースの重要性―視野と選択肢を広げて人生を豊かにしよう
【著者プロフィール】
柏原 元(かしわばら・げん)
1983年生まれ。明治大学卒業後、NTT東日本に入社しラグビー部に所属。NTTコミュニケーションズにチームが移管した後、2012年の28歳で戦力外通告を受け引退することに。同社で人材開発の業務に就きながら次なるキャリア構築に向け、ビジネススクールでスポーツマーケティングを学ぶ。2015年に電通アイソバー株式会社へ転職し、多業界におけるSNSマーケティングを担当。2016年、株式会社電通へ出向。国際スポーツイベントのSNS担当を経て、ラグビーワールドカップ2019公式SNSの戦略立案・運営を行う。2021年独立。現在は企業のSNS活用支援を行う株式会社アラインを経営。オリンピック公式SNSなど実績多数。